【バルマン】ドリス ヴァン ノッテン 2017年春夏コレクション – 時代交差の中で浮かび上がる日本文化

ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)の2017年春夏ウィメンズコレクションが、パリファッションウィーク2日目2016年9月28日(水)に発表された

 

会場へ足を踏み入れると、氷に閉じ込められた花々が暗闇の中で輝いていた空調がきいていない生暖かい空間、じわじわと溶け出す氷柱、それに合わせたように流れる溶ける氷の音色様々な要素が融合されたその環境は、幻想的であり生命感を感じられた

ショーの始まりは突然で穏やかだった開場時から続く、溶ける氷の音色以外に音は加えられず、真っ暗な中にファーストルックが浮かび上がった真っ白なTシャツとハーフパンツ、潔いほどにシンプルだそして対象的にデコラティブなアクセサリーで飾られている足元は下駄のようなサンダルで、突然現れた和の文化は不自然であるのに、面白いほどに調和しているその後はしばらく白の世界が続くのだが、洗いざらしのホワイトワンピースに唐突に投じられた、オレンジやイエローの花々が印象的であった

 

和、花模様、ワントーンに浮かぶ鮮やかな色彩、そしてカジュアルと対照的なアクセサリーこれらは、今季のドリス ヴァン ノッテンの折衷主義を支えるキーワードであるだろう

美しいジャカードや繊細なシースルー素材には、日本の着物から着想を得た花々がのっている咲き誇るように優雅な姿をみせるもの、流れるタッチで描か曖昧な表情を浮かべるもの繊細な感性によって描かれたモチーフは、国境を越え、時代を越えて、モダンウェアの中で再び命を宿し、花を咲かせている

 

光沢とマット、透け感などニュアンスに違いがあるものの、パレットはほぼ黒または白で構成されていて、そこに差し込まれた、明るいイエローや鮮やかなブルーは、驚くほど強い色彩のパワーを発揮している

コレクションピースはエレガンスが基本だIラインドレスやジャカードのコート、フレアなスカートなど、高貴でフェミニンであるそこに差し込まれたTシャツやワークウェアには、ドレスルック同様に、オーナメントのように精巧なビーズ刺繍を添えたヴィクトリア時代を思わせる服の断片その手の込んだディテールがリュクスとストリートの間を埋め、カジュアルをドレスラインまで昇華させている